私は、小さい頃、桃の節句に飾る雛人形を見て、怖いと思い近づかなかったそうです。七段飾りで品がよく今にも動き出しそうな雰囲気に圧倒されていたと母が言っていました。写真で見ると、すごく表情が優しくお祭りという雰囲気そのものです。今その雛人形は、押し入れで眠っていると言っていたので、どうせなら本物を久しぶりに見てみたくなったので、出してもらいました。
母と一緒に私も手伝って、七段飾りを完成しました。すごく数十年たっても、全然変わらないと母は言います。写真で見るのと同じように動き出して今にもくるのではないか、そういった感じがしました。でも、お内裏様とお雛様は、落ち着いていて、すごく品がよくて、笑顔がとても印象的です。顔は命とコマーシャルで聞いたセリフですが、目の前にある雛人形たちは、生き生きしていてすごくエネルギーを感じました。
この雛人形は、父の親戚の方が作ったものだと聞かされて、すごく腕のいい職人だったといいます。今はもう亡くなっていませんが、息子さんが跡を継いだと聞きました。職人の技というのでしょうか、すごく素敵な人形たちにしばらく見とれてしまいました。何年も押し入れの中でごめんなさいと心で謝って、毎年私と母で飾ろうと話をしています。きっと私が嫁ぐときは、一緒に来てくれるのだろうか、そんな不安はありましたが、「大丈夫よ」という母の言葉にホッとしました。すごく穏やかな空気の中で、母と甘酒を飲みながら、しばらく女同士の会話を楽しみました。
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